相続土地国庫帰属制度とは?

近年、相続した土地を持て余して困っている方が増えています。そのような問題を解決するために、相続土地国庫帰属制度が注目されています。この制度を利用すると、相続人が不要な土地を国に引き取ってもらえる可能性があります。具体的にどのような制度なのか、詳しくご紹介します。
制度の仕組みと手続き
相続土地国庫帰属制度では、相続人が法務局に申請を行い、現地調査などの厳しい審査を通過すると、土地を国に引き取ってもらえます。
- 審査手数料: 1万4,000円
- 土地管理費の納付: 引き取りが決まった場合、10年分の管理費用に相当する金額を納める必要があります。基本は20万円で、土地の種類や広さによって異なります。
法務省の発表によれば、今年11月時点での申請件数は3,008件。審査結果が出るまでにはおよそ8カ月かかり、これまでに1,089件が帰属実現に至っています。一方で、却下されたケースも少なくありません。
審査が通らない土地の特徴
以下のような条件に該当する土地は、審査で承認されない可能性があります。
- 建物が残っている土地
- 境界が明確でない土地
- 抵当権が設定されている土地
- 管理コストが高い土地(土砂崩れや鳥獣被害の可能性がある土地など)
審査却下の例は51件、不承認となったケースは43件報告されています。このような土地は、相続人自身で別の方法を検討する必要があります。
手続きの費用と専門家への依頼
制度の手続きは、司法書士や行政書士に依頼することが可能です。費用は20万円から60万円が目安となっています。手続きの煩雑さや専門知識が必要な場合も多いため、専門家のサポートを受けるのがおすすめです。
土地をどうするべきか?
売却できれば理想的ですが、売れない土地も少なくありません。しかし、無料でなら譲り受けてくれる人が見つかる場合もあります。たとえば、隣地の所有者などに粘り強く交渉するのも一つの方法です。
それでも引き取り手が見つからない場合は、国庫帰属制度の利用を検討する流れが一般的です。放置された土地が荒廃すると、不法投棄などの問題を引き起こし、周囲に迷惑をかける恐れがあります。さらに、相続人が所有者としての責任を問われるケースも考えられるため、早めの対策が重要です。
最後に
相続土地国庫帰属制度は、相続した土地の処分に困っている方にとって有力な選択肢の一つです。ただし、審査が厳しいことや手続きに費用がかかることから、事前に専門家と相談しながら進めるのが安心です。
土地の活用方法や処分についてお困りの方は、ぜひ一度制度の詳細を確認してみてください。
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