遠い記憶

 その物語の始まりは査定サイトからのメールでした。グーグルマップを覗いてみると案件は小山市外の農地の中に農家住宅等の見られる住宅地域です。近くには大型公園がありドッグランやキャンプ場もあります。また、新4号線も近くアクセスも良好で道の駅にはスタバもあり総合病院も車で10分くらいの立地です。永住するもよし、セカンドハウスにも、もってこいの物件です。

 アウトドアが趣味の僕は、まずは現地を見るべしと車を走らせました。現地にたどり着くと、査定案件と南側隣地の畑が一体となっており、その畑にあった石のオブジェが無残にも取り壊されて査定案件に押し戻されているような感じです。

 これは、何かあるなと思い査定依頼者に確認すると「俺も相続でもらったものなのでわからない」という回答でした。そのお客様は東北に住んでおり、なかなか現地にはいけないから鍵を送るからあとは頼むということでした。

 価格の査定を出す前にまずは、石の謎を解決しなければと隣地の地主さんを訪問しました。地主さんは、ただの「不動産野郎」といった目で今までの鬱憤を晴らすかのようにまくし立ててきたのです。「行列のできる不動産相談所」を目指す僕的には心が墨滴になった瞬間でした。

 前所有者は親分肌で黒を白と言わしめる人で周りの人達も困っていたようです。地主さんいわく、親がいとこ同士で最初は購入する口約束を交わしていたようで役所の許可が下りないので貸してくれということで親が同意したかどうか知らないが、勝手に大きな石を何個もおかれてしまって困っていて、空き家になったからもとに戻しただけだということでした。調査をしてみると査定案件北側の地図にない道らしき土地も隣地の方と揉めていたみたいなのです。まさに「杭を残して悔いを残さず!」の逆パターンですね。

 結局のところ相続人さんは隣地との経緯をうすうす感じ取っていたらしく面倒くさい案件だから弊社に査定依頼をしてきた様子でした。

解決策

 南側隣地地主さん、北側隣地地主さんや近隣の方々に何回か訪問し、昔話を聞きながら絡まった糸を紐解いていったのです。また越境のあった付属建物部分は建物を取り壊して現状回復をしたのでした。ここまでにかかった日数は3ヶ月でした。そして最後は土地家屋調査士に依頼してお互い了解のもとしっかりと杭を入れたのでした。

今回の教訓

 買う人としては買ったあとは長い年月を過ごします。境界のトラブルは非常に怖いものですからトラブルの元は早いうちに解決しておきたいものです。

だからこそ杭を残しましょう。

投稿者プロフィール

関谷 真史
関谷 真史
■趣味:食べ歩き
■売買への思い:
一生に一度、人生最大のお買い物のパートナーとして、寄り添いベストのご提案をさせていただきます。
■査定への思い:
大切な財産である不動産を、手放すお気持ちに寄り添い、お考え・お気持ちを第一にしております。売却後のご不安点等も誠実に対応いたします。
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