用途地域のハザマ

この物語は、相続案件の売却を依頼されたお客様の苦悩のお話しです。

その問題は市街化と市街化調整区域のハザマでおきました。

宅建の勉強をしていた時、敷地の中で2つの用途地域がまたがるとき、建築可能な建物用途はどのように判断すればいいか?こんな問題がありました。

答えは、2つの用途地域が敷地内にあり、それぞれの指定容積率・建ぺい率の限度が異なるときは、「案分計算を行うことで建ぺい率・容積率の限度が決まる」ということです。

今回の問題は、その敷地全体の8割は市街化区域の土地です。そして、あとの2割は県外の調整区域の土地でした。

当然家を建てるのは市街化区域の土地ですから、問題ないはずだったのです。

その市街化区域の管轄の市役所の見解では、用途地域の指定どおりの建ぺい率と容積率の限度内で建築できるという見解でしたが、「接道は県外の行政管轄なので、そちらは、そちらの回答を得てくれ」という付属条件がありました。

それではと、調査に出向いたのですが、隣接県の町役場では結論がでませんでした。

県の扱いということで、何回か県の担当課に電話をしたのですが、開発担当者が、電話中ということで繋がらず、受託を受けたからには早く売り出しをしなくてはいけないと思い行政書士に今回のケースの上申書の提出を依頼し、県の担当者に回答を求めたのでした。

依頼をしてから1か月あまり、やっと県より回答がきたのです。なんでも、市街化区域に家を建てるにしても接道が調整区域の土地であれば、県の開発行為の指導要綱にしたがって市街化調整区域に15年以上住んでいなければいけない等の縛りがあるということでした。

これでは、土地の価値が半減してしまいます。

この物語は、土地の用途地域や調整区域の重要性とその複雑さを示しています。宅建の試験の勉強や実際の土地取引でこのような問題に直面する可能性があることを考慮すると、非常に参考になる内容です。

土地を購入または販売する際、単に土地の大部分が市街化区域であるからといって、全てが順調に進むわけではないことがわかります。接道の用途地域が異なる場合、それに伴う規制や制約が発生する可能性があるため、十分なリサーチと調査が必要です。

特に、異なる行政管轄の境界がある場合や、複数の用途地域が混在する場合は、慎重に行動する必要があります。この物語から、行政とのコミュニケーションや行政書士との連携が土地取引において非常に重要であることがわかります。

土地を購入する際や、建築を計画する際は、土地の用途地域や市街化・市街化調整区域の情報をしっかりと把握し、必要に応じて専門家の意見やアドバイスを求めることが大切です。

投稿者プロフィール

関谷 真史
関谷 真史
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